頭痛について

頭痛はポピュラーな症状で、その原因や治療も様々です。頭痛には基礎疾患のない一次性頭痛と、別の原因疾患による二次性頭痛に分けらます。一次性頭痛にはくも膜下出血・脳腫瘍・高血圧性脳症・髄膜炎などがありますが、ここでは二次性頭痛である緊張型頭痛・片頭痛・群発頭痛の話を中心に進めていきます。

1.緊張型頭痛

緊張型頭痛はもっともポピュラーな頭痛で、いわゆる「頭痛持ち」の大半がこの範疇はんちゅうに入ります。これは筋収縮性頭痛とも言われ、緊張・ストレス・心配事・過労・睡眠不足などが要因となり、頭蓋骨の周囲~頚部の筋肉が収縮し頭痛となって現れます。肩りや首凝りなどの症状を伴うことも多いですが、一般に吐き気を伴うことは少なく、実際に嘔吐おうとするようなことはほとんどありません。比較的だらだらと慢性的に続くことが多く、完全に頭痛がなくなりスッキリするということの少ない頭痛です。仕事が出来ないほどの強い頭痛はまれですが、市販の鎮痛剤で誤魔化しているのが現状ではないでしょうか。市販のものも含めて鎮痛剤には、消化器系の副作用があります。長く服用すると胃の粘膜を荒らし、胃炎・胃潰瘍などを引き起こし、最悪の場合、吐血や胃穿孔にもなる可能性があります。そのため、鎮痛剤を長く常用するのはお勧めできません。運動不足も症状の出現の要因となるので体操などで肩~首の筋肉をストレッチするといいでしょう。気分転換なども有効でしょう。それでも頭痛が改善しない場合は、筋肉の緊張をほぐすために軽い安定剤であるマイナー・トランキライザーや筋弛緩剤などを使用します。

2.片頭痛

片頭痛は日本人の1割近くの人に見られる疾患で、いまだに診断されず未治療の人がほとんどです。片頭痛は血管性頭痛とも呼ばれ、ストレスなど何らかの誘因により血液中の血小板からセロトニンという化学伝達物質が放出され、脳血管が収縮します。その時、片頭痛の前兆として約3割の人に閃輝暗点せんきあんてんと呼ばれるギザギザした閃光と視野の欠損(暗点)が見られます。その後、セロトニンが反応性に代謝分解され、逆に血管が拡張します。拡張した血管は透過性が亢進することにより浮腫・炎症が惹起じゃっきされ痛みとして伝達されます。
中には頭痛が現れずに閃輝暗点だけで終わる患者さんもいます。一時的に視野が暗くなり見えなくなるため、心配して眼科や脳外科に駆け込むことが多いようです。片頭痛は比較的女性に多く、生理の前後に起きることが多いようです。ズキンズキンという脈打つような頭痛が吐き気を伴って数時間続きます。月に1~2回という頻度が多く、動けないほど痛むこともしばしばです。
最近(2001年)、この片頭痛に対し、新薬(トリプタン系薬剤)が開発され、片頭痛の頓服として使われています。これは血管のセロトニン受容体に作用して過度の血管拡張を抑制し、同時に炎症物質の働きも抑制します。前兆を防ぐことはできませんが、片頭痛にはとても有効です。片頭痛以外の頭痛には効かないため、診断の一助となるときもあります。このトリプタン系薬剤は数種類ありますが、それぞれ微妙に違いますが、大きな違いはありません。個人差によって効果の現れ方が違うため、何種類か試した方がいいかも知れません。

3.群発頭痛

血管性頭痛にはもうひとつ群発頭痛というのがあります。これは片頭痛に比べるとなまれ疾患です。眼の奥や顎がえぐられるように激しく痛み、それが1~2ヵ月毎日続き、パッタリと止みます。その1年から数年後に再び繰り返すというもので、原因はよく分かっていません。片頭痛と違い男性に多く、痛みの部位から眼科や歯科を最初に受診する患者さんも多いです。治療はトリプタンの自己注射だけが保険適応となっていますが、トリプタンの点鼻薬が効くこともあります。


もちろん頭痛にはクモ膜下出血など脳血管疾患や脳腫瘍などの二次性頭痛もあるので、それを否定することが重要であることは言うまでもありません。いずれにせよ「頭痛持ち」は体質だと諦めないで、医師に相談を――。

Copyright ふじえ内科医院